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木彫は楽し@


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「狙う−ダッシュ」 毛並みのバーニング開始
 「アビシニアンU」で毛並み表現の端緒が得られたので、昨年、白木づくりにしていた追いかける猫の作品を、同様の技法(バーニングと薄色の重ね塗り)で仕上げてみることにした。どんな色〜柄にするかまだ決めていないが、とりあえずバーニングを開始、作業を進めるなかで考えることに。バーニングは毛の生える方向を描くだけでなく、よじれなんかも入れてリアリティーを出すよう試みたい。毛の筋目をこれから何千本、何万本(?)描かなければならないか……始めたばかりで早くも肩凝りを感じているが、腕立て伏せやストレッチをしながら、手間のかかる作業を楽しんでいこう。2017/11/10



「アビシニアンII」 再々々削り直し、塗り直し
 何度塗り直しをしただろう。塗りだけでなく、全体を一皮剥くようにヤスリをかけたり、電動ルーターで削ったりバーニングで毛並みを焼いたりしたので、猫は次第に痩せてきた。彩色では調合した色を木片に試し塗りしても、やはり本体に塗らないと感じがつかめない。気にいらないとジェッソを塗ってやり直し。何度も繰り返しているうちに、今度は少しずつだけれど、塗った色の層の分だけ太ってきた。
 今回のシナ材、木質が柔らかすぎてグザグザになり、思い通りに彫れないことがすべての作業に響いたが、バーニングペンで全身に毛並みを付け、その小さな溝を絵の具の溜まりにすることで色むらを防ぐことができたように思う。まだ完全とはいえないが、やっと思い描く毛並みの表現に近づいた気がする。いまの私にはこれが限界か。2017/9/23
     



「猫が顔を洗うとき」 雨が降るかな
 猫が顔を洗うと雨が降る──との言い伝えがあるが、湿度が高いとヒゲの感度が鈍るのでメンテしている、という説によるらしい。また食後の汚れ落としもあるし、イライラしたときの気を鎮める行為という人もいる。きみ、なんかストレスでもあるの?と猫の心に触れてみたいが、猫語を解さないのでニャンともわからない。
 ところで、昔の三毛猫は白地に茶と黒の斑がくっきりしていたものだけれど、このごろさっぱり見かけなくなった。代わりに薄茶にネズが混ざり合った、境目がはっきりしない柄のものがほとんど。これも外来種が繁殖したせいなのか。彩色は今風にしたのだが、ぼかしが面倒なのでラフな筆遣いでごまかした。2017/3/15

顔洗い-側面 顔洗い-正面



「ターゲット・ロック・オン」 目で変わる表情
 獲物を狙う猫の目。以前にバーニングしたものだが、入手した写真に忠実に描いたのに何となく不満が残っていた。それが何なのかわからなかったのを今ごろ気づき、目だけ描き直す。たったこれだけのことで、獲物のかすかな動きも見逃さない、目のリアリティが表現できたように思う。2017/3/10

狙う猫-修正前  ⇒   狙う猫-修正後



ZZZ…」 バルサ材をテスト
 どんなものか初めて買ったバルサ材を試作してみた。まるで発泡スチロールのような密度のなさで、彫刻刀は力を入れなくても切れる。電動ルーターで削るとあっけないほどスイスイ進む。子供か初心者の練習用にはいいかもしれないが、木彫とは胸を張っていえない材料だ。しかし、やり始めたので完成させた。色を塗れば材質までわからない。展覧会でよく「作品に手を触れないで」とあるが、これは「手に持ってみてください」と表示するのも一興かな。意外な軽さに、あれっ、と驚くに違いない。
 「ZZZ…」をなんと読むか。寝息を表すオノマトペ(擬音語)なので、読む人によって変わるようだ。普通グーグーだろうが、子猫が熟睡している状態なので、クークーがスヤスヤと判読していただければ。2017/1/20

寝る子猫



「アビシニアン」 キリリとスラリ
 書店で見た『世界の美しい猫101』の表紙のアビシニアンに魅せられた。和鋏を開いたようなキリリとした顔立ち、バレリーナのような筋肉質のスラリとした体形、真っすぐ見つめる視線は涼やかで、凜とした気品があった。本の猫と目が合った瞬間、これを彫ると決めた。
 短毛種なので骨格や筋肉の配置をおろそかにできない。猫カフェ“ 福猫茶房 ”に行き、同種はいないがベンガル系“遊”くんの細身をよく観察し、引き締まった体形に近づけた。彩色はいつも苦労、イメージどおりにいかなくて何度も塗り直し、ずいぶん日数を費やした。2016/4/22

アビシニアン-右 アビシニアン-正面 アビシニアン-左



「子猫2匹」 歩き始めの形と表情
 猫は生後3週くらいで歩き始めるらしい。行動範囲は狭くても子猫にとっては大冒険だろう。おぼつかない足どりで踏ん張りがきかず腰が引けている形、見るもの触るもの新発見、好奇心から首を伸ばし目を見張る表情……そんな“おっかなびっくり”の状態を表わしてみた。
 やっとこ歩きの子猫はタビー模様をアクリルで、何かに驚いてフリーズしちゃった子猫は、ベンガル柄をバーニングとアクリルで。目の色は、生まれたばかりの猫に特有のキトンブルー kitten blue、濁った青色なので、きれいに見せるのが難しかった。2015/11/12

子猫-正面 子猫-後面



「二足立ち猫」 何を見てるの?
 四つ足の猫が二足立ちすることがある。何かの気配を感じ、それを“見極め”ようとしているのかと思ったら、猫の目はひどい近視で0.1〜0.3しか見えないとか。ジッと見つめているかのようにみえるのは、物音を“聞き分け”ようとしているところらしい。聴覚のほうは哺乳類のなかで最も発達していて、人間には聞こえない高周波〜低周波の音域や微かな昆虫の足音まで聞こえるという。
 彩色で三毛猫に。前面はほとんど白一色、背面は豪華な和服のイメージ。鼻先と耳の内側だけ削って木肌を出した。2014/12/18

二足立ち-前 二足立ち-背



「棒になった夢」 シナの原木から
 定年退職のあと木工場に勤めた後輩からシナの原木を数本もらったので、さっそく彫ってみた。一番長い材を選び、うつ伏せでのべーっと前後に足を伸ばして寝ている猫。
 生木だから、削っていくと芯の赤身と表層の白太(しらた)の色の差や、腐れ節〜汚れ(青太というらしい)が出てきたり、ヒビ割れが生じたりと思わぬアクシデントもあったが、それも一興と楽しんだ。彩色しても汚れを隠しきれず、ややラフな仕上げながら、これはこれで納得。「棒猫」との題も途中から「棒になった夢」に改めた。2014/9/12

棒猫-左向き 棒猫-向こう向き



「Cats Walk」 3匹が行く
 ボス猫ができたので、先につくった歩く猫2匹を従えて組物にしてみた。ボスの体は他の猫より大きめにしてあるし、3匹とも足の運び、尾の形はそれぞれ変化を持たせている。また瞳の大きさもマチマチだったので、これは同じ条件下にするとあり得ないこと。猫の目のように変わるというくらいだから、2匹を昼の細い瞳に描き直す。ボスを先頭に縄張りをパトロール……実際にうちの周りを歩かせてみた。 2014/7/15

3匹-正面 3匹-後面



「ボス猫が行く」 サバトラ柄で縦縞の背広風
 キャットウォーク3作目は“ボス猫”。他の猫たちを威圧する体の太さと、同時に果敢な気性も表現しなければ、と肥り気味にし、面構えも工夫した。 とくに前作2匹とは足運びを変えてあるが、これは岩合さんのTV番組“世界ネコ歩き”を録画し、何度も静止して正確を期した。 サバトラの毛並みは、ギャング映画でみるボスは縦縞の背広が定番のようなので、そのイメージのつもり。2014/7/12

ボス猫-正面 ボス猫-側面 ボス猫-背面



「あ、春」 陽気にむずむず
 痒いところに手が届く−という慣用句があるが、この場合は“足”が届く。陽気の訪れとともに犬も猫も同じポーズで首を掻く。
 気持ちよさそうに目を細めている顔をみると、長い冬が終わってやっと春が巡ってきた喜びを共感する。で、有名な映画のタイトルを拝借。それにしても、足先からノミがとび出したり毛がとび散ったりしそうで、こっちの体もむず痒い気がしないでもないが、うちの猫は木製なのでその心配はない。いっしょに青葉の季節を満喫しよう。2014/5/22

首掻き-正面 首掻き-アップ



「寄り目」 てんとう虫と猫
 何年前になるか、テレビのCMで放映された1コマが人気を呼んだ。白猫とてんとう虫の組み合わせが微笑ましく、のどかで平和な映像に癒される人も多かったのだろう。
 木彫では、形に難しいことは何もなく、ただ猫が普通に前を向いていればいい。ポイントは目の描き入れだけ。CMは瞳孔が上目蓋につく三白眼で、動画の経過のなかで寄り目になっていく感じだが、木彫で三白眼にすると時間経過がないから、睨み目にしかならない。なので、瞳孔を下目蓋の中央に寄せ、てんとう虫を凝視させた。漫画っぽくなりすぎたかな。2014/4/22

寄り目猫



「キャット・ウォークU」 細身の軽やかさを
 同じ題の前作(オス)は、なんかヨイショヨイショという感じの歩き方になったので、2作目はスイスイと軽やかな感じに。
 短毛長尾で細身の猫はポーズがとりやすいように思う。ファッション・モデルの超長身〜超痩せタイプに類似するといえるかもしれない。別に猫が左右に腰を振って歩くわけではないけれど……。ということで、メス猫のしとやかな歩きをイメージして初夏に作成、年末に修整してシャム猫に変身させた。2013/12/20


シャム猫-正面 シャム猫-側面



「香箱座り」 エラソーな顔が面白くて
 「香箱座り」とは、昔の人は品のいい言葉を当てはめたように思えるが、貴族階級によるネーミングだろう。当時、鼠害に悩まされていた層には、猫は手が出せない“舶来品”だったにちがいない。英語圏ではパンの塊に例えて「キャットローフ catloaf」と呼ぶそうだ。こっちのほうが庶民的だな。ともあれ、この状態、猫にとってはほっくりしているときのようで、自己内省とでもいうか、しばしば哲学的な、エラソーな表情をすることがある。どうせ大したことは考えていないはずだが……。
 毛並みは、アメリカン・ショートヘアの斑模様をバーニングで仕上げた。シュールで奇々怪々な渦巻きを描きながら、猫の不思議をまた体験した。2013/7/18


香箱座り-正面 香箱座り-側面



「空中反転」 しなやかな落下の対応
 猫の両足を上向きにつかんで持ち上げ、離すと、素早くクルリと反転して着地に対応する。その機敏なひねりの一瞬をとらえてみた。材料はシナ。猫のしなやかさをシナで彫った……なんて、つまらなくてシャレにもならないか。彩色はアビシニアン風に。
 ところで、高層マンションの19階から落ちた猫が無事地面に着地したという、信じられないようなニュースをネットで読んだ。エッ、と思った方は、 こちら へ。2013/5/15

空中反転-腹側 空中反転-背側 空中反転-正面



「籠の中」 木肌を活かし薄化粧
 前作のあと、容器の中に猫を入れたら隠れた部分を彫らなくて済む、つまり手抜きできると考えた。箱、紙袋、花瓶といろいろ思案の末、籠の中が一番ほっくりしそう……しかし籠だと竹ひごの編み目を彫らなければならないから、かえって面倒になるが、そのイメージが消え去らず、彫ることに。
 材料は北海道では産しないクス。樟脳の原料にもなる木で、彫り始めると部屋中に芳香が満ちる。下絵では目をつぶっていたのだが、半眼にして居心地よく満足している表情に変えた。彩色は、木肌の濃淡を斑模様に活かし(透けて見えるように)ジェッソを薄く塗るにとどめた。2013/4/1

篭猫-正面 篭猫-側面



「コップ猫」 ブナの円柱材で
 “百均”でなんとなく買ってきたブナの円柱材(Φ60×12p)を、しばらく棚に置きっぱなしにしていたら、ある日、ふいに子猫がコップから顔を出す図案が浮かんだ。猫は箱だの袋だの、とにかく穴の中に入ると安心する習性がある。
 顔と前足を彫るだけだからいとも簡単、と思えたが、彫刻刀がスパッと切れないモゾモゾした材質だった。コップからはみ出す前足部分は、頭を削ったさいの端片を貼り付けた。で、これまでで制作費がいちばん安い、税込み105円也。2013/3/13

コップ猫



「ごろにゃん」 究極のリラックス
 仰向けになって、完全にだらけきっているようにみえるが、外敵に襲われることのない安全な場所とわかっているからできる、安心しきった猫の寝姿。はしたない態度は見る者に不快感を催させるものだが、この場合、なぜか微笑を誘い、こっちの気分までリラックスさせてくれる。究極の脱力ポーズといえようか。
 シナ材をほとんど浅丸刀で彫った。シッポの形に迷い、削りすぎて失敗、半分ほど端材を貼り合わせて削り直す。着色は、全身にジェッソを塗ってテカリを抑え、鼻先と肉球をアクリル絵の具で。2013/1/18

ごろにゃん1 ごろにゃん2 ごろにゃん3



蘇生 そせい とき 」 猛獣めいたポーズに惹かれ
  水を飲むという行為は動物にとって欠かせないもの、どんな動物であれ絵になるような気がする。なにかホッとするものを感じさせるからだろうか。この猫は 首を低い水面に伸ばすので肩が盛り上がり、どこか猛獣めいたポーズ。そのイメージで彫ったせいか、どうも与えられたキャットフードではなく、自ら獲物を狩り肉食してできた筋肉のような、野性が現れた形になった。
 彫りのエッジを際立たせるよう、塗りも水分少なめのアクリル絵の具を硬い筆でラフに擦りつけた。2012/12/3

水を飲む猫-正面 水を飲む猫-側面



「キャット・ウォーク」 “側対歩”って知ってますか
 テリトリーをパトロールするオス猫を彫ってみた。猫の歩き方は“側対歩”といって、前足を出すとき同じ側の後足も同時に出す(犬は“斜対歩”で左右別々になる)。たかが猫でも、制作する者は生態をよく観察していないと間違いをおかしかねない。
 運動会の行進で、児童が緊張のあまり同じ側の手と足を同時に出して笑いを誘うことがあるが、同じ動作なのに猫はしなやかで流麗だ(もっとも人間は2足歩行だから、手はただバランスをとっているだけなのかな)。
 題名に借用したマル・ウォルドロンの 「Cat Walk」は、 名盤「 レフト・アローン 」に収録。猫好き必聴の佳曲としてオススメ 。2012/10/15

キャットウォーク前面 キャットウォーク側面



「風の匂い」 材料は紫檀だった?
 風上に鼻を向けてヒクヒク……猫が嗅覚に敏感になるのは、どうせメスの臭いか(こやつがオスなら)、エサの臭いだろう。でも、あまり現実的すぎると生ぐさい感じになるから、まげて爽やかなイメージの題にした。
 サークルの先輩にサクラだといっていただいた材料だったが、さらに年上の先輩が見て、これはサクラではない、ローズウッド=紫檀でないか、という。そういえば、先のフクロウを彫ったサクラ材よりもっと硬くて、ずっしり重たい。ネットで調べてみると、紫檀の特徴が一々うなずけるし、サンプル写真の 暗褐色に黒紫の縞模様もそっくり。 もしそうなら、高級家具、唐木細工、象嵌、ナイフの柄などに使われる銘木である。叩き鑿をまたもや刃こぼれさせてしまったが、いい経験だったと思うことにしよう。2012/10/9

風の匂い-右 風の匂い-上



「午睡」 記憶をたどって彩色
 4年前に彫った眠り猫、今ごろ色を塗りたくなった。で、顔彩で三毛猫に。筆遣いの拙さから茶と黒に色むらが生じたが、却ってそれが味わいになり、胡粉の白も清潔感になったように思うのは、独りよがりか。
 中学生の頃、サンコと呼んでいた飼い猫を描いたことがある。絵は紛失し胴体の色模様は定かでないものの、頭と尾は記憶どおり。とても優しい性格の奴で、私が学校から帰ると肩にかけのぼり、喉をゴロゴロ鳴らしながら耳を甘噛みした。あれは家族への愛情を表す行為だったのだろうな。でも……当時の私は帰宅すると「腹減った」とわめいて何かかにか食べたから、その分け前にあずかろうとしただけのことだったのかな。2012/6/1

三毛猫-正面 三毛猫-背面
「母子交歓」 寝ていてもシッポの動く
 江戸川柳に「寝ていても 団扇 うちわ の動く親心」というのがあるが、これは「寝ていてもシッポの動く親心」とでもいうべきイメージ。子猫はやっと外界がわかりかけてきた、まだ動作が緩慢な状態を想定してみた。反面、母猫のシッポをくねらせて動きを出した。毛並みは電熱ペンで焦がす。バーニングは久しぶり、2匹の全身を描くと肩が凝ったが、母子の表情に気持ちはほっくり。第45回記念道美展会友賞。2012/5/12

親猫の尾にじゃれる子猫



「怪しい奴」 鏡に映る自身を威嚇
 鏡に映った自分の姿を威嚇する子猫、そのしぐさが面白くて彫ることに。途中、背から尾にかけて逆立つ毛並みをどう表現するか迷った(以前、リスを彫って、尾の放射状に広がる毛並みをどうにも立体化できなかったので)。ウッドバーニングで描こうかと思ったが、興奮の様相は刀の切れ味で表すしかないと思い直し、勢いよく彫り上げた。仕上げはアクリル絵の具で全身を白塗り、少し乾いてから濡れた布でこすってエッジの木肌を露した。鏡枠は裏面に眠る猫を置いて支えにしたところ、上のスペースが空いているので風鈴とスダレを陰刻。隠し味のつもりが、興が乗りすぎたかもしれない。子猫はジェルトン材、鏡枠はクルミ材。2011/8/12

怪しい奴-鏡を威嚇 怪しい奴-正面 怪しい奴-鏡裏



「日向ぼっこ」 ひのき の木目で茶トラに
 高級材の桧で彫った。桧は木目が美しいが、彫刻刀をよく研いで切れ味よくしておかなければきれいに出ないし、逆目はもちろん横目に削ってもケバ立つ。サンドペーパーなんかかけたら粉を吹いた状態になって木肌が光らない。厄介な材質に手こずりながら、けっきょく足周りを白く着色、頭・背・尾は木目を活かして“茶トラ”風に仕上げた。猫がうずくまる定番のポーズ、平穏なひとときを表現できたろうか。2011/6/1

日向ぼっこ-正面 日向ぼっこ-側面



「逃げ足」 疾走の体勢、支え2個所で
 走る猫のフォーム。スピード感を出すため尾を横になびくようにしたかったが、そうすると前足1本で全体重を支えなくてはならない。木彫だからいつポキッと折れるかしれない。やむなく尾も地面に着けて2個所で支えることに。猫の場合、全力疾走は追いかけるより逃げるほうが多いのではなかろうか。危ないとみたらさっさとエスケープする――ちょっと滑稽でカッコワルイけど、生き残るには最も無難な安全策かな。第44回道美展奨励賞。2011/5/15

逃げ足-正面 逃げ足-斜め前 逃げ足-側面



モデル猫と再会、仲間と認識?
 完成した黒猫を持って、“ 福猫茶房 ”を訪ねた。実は粗彫り段階で訪ねたとき、この猫カフェのスタッフの中から、黒猫の“ くう ”君をモデルに選んだ経緯があり、今回、再会というか、照合してみようと思ったのだ。
 木彫猫を房内に持ち込むと、猫スタッフ一同ぞろぞろ集まってきて、臭いをかいだり触ったり……。私がけしかけるように前後に動かすと、とび出してきて先制パンチを食らわす強気の猫もいたが、たいていは怯えたように後ずさりする。当の“空”君はとび跳ねて逃げていってしまった。猫たちの目にどう映っているかわからないが、その反応ぶりからみて、猫の仲間(あるいは敵)と認識されたようなので、私としてはまあ満足した次第。2011/1/21

福猫茶房 黒猫とモデル
猫カフェ“福猫茶房”/分身の臭いをかぐ空君



う−ロック オン」 吾輩は獣である
 世の中、なんでもかんでも可愛らしさばかりが強調され、猫も同様のようだ。しかし本性は肉食系、その野性を表現しなくては。獲物をねらう表情を観察すると、頭を低く下げ、目をみはるように開けてターゲットの動きを細大もらさずキャッチしようとしている。で、そのように下絵を描いたら、まるで驚いたような顔になって、どうも野性とはほど遠い。けっきょく三白眼にして睨みをきかせるしかなくなった。また眼光の鋭さは、黄色い目を黒一色の中におくと際立つと考え、全身を真っ黒けにした。全長49p。2011/1/1
 
この作品は、猫カフェ“ 福猫茶房 ”サイトに紹介されました。

黒猫-側面 黒猫-正面



「上を向いて 飼い猫を偲んで
 娘たちが小学生の頃、白いオス猫を飼っていた(家族との交流は、拙作「猫も歩けば」に=『 われらリフター 』所収)。しなやかな体型は野性味あふれ、狩りもうまかった。名前はチック、奴の面影をしのんで彫った。今回は電動ルーターを導入、補助的に使ってみたら微妙な細工が容易にでき、表現に改革が起きた感じ。毛並みはバーニング、仕上げはアクリル絵の具。毛並みの彩色は白一色だから面倒はなかったが、透明感のある青い目を描くのに1週間を費やした。2010/7/24

白猫-正面 白猫-側面



「きれい好き」 毛繕いで忘我の表情
 この構図はかなり難しかった。前足が舐めている後足の後側にあるなら形がとれるのだが、それでは秘所が丸見えになる。今回は上品にいこうと思って前足で隠す形をとった。材料はチュペロ(北米産)。白い木肌が美しいのでそのまま生かし、日本画用“顔彩”の茶〜黒色を塗って三毛猫にした。色の濃淡や滲みが温かみを醸しだすよう念じて……。それにしても猫って、毛繕いする時、なぜあんなに夢中になってしまうのだろう。2010/6/8

きれい好き



「ストレッチ」 春うらら、メタボ猫も動き出す
 猫独特の伸び伸びポーズ、メタボな体型にしてユーモラスな雰囲気を出してみた。木材の大きさに限りがあるので、長いしっぽをどんなふうにおさめるか悩まされ、結局こんな形に。題も「背筋伸ばし」「柔にゃん体操」なんてのも考えてみたが、前者はまともすぎ、後者はふざけすぎな気がして、これに落ち着く。オスのシンボルも表現。さあて、私も思いっきり大きな背伸びをして、どこかへ出かけてみるかな。第43回道美展で新人賞をいただいた記念すべき作品。2010/4/8
  この作品は、 北岡ヤスリ製作所 サイトに紹介されました。切れ味抜群の“木彫ヤスリ”を販売しています。

ストレッチ前面 ストレッチ後面



「牝猫」模刻、しなやかな形を学ぶ
 これは畏れ多くも、近代木彫の鬼才と称される佐藤朝山「牝猫」の模刻。と言っても実物を見たことはなく、たまたま目にした 1枚の写真 の美しいポーズに魅了された。見つけたのはこの面(左)だけなので、他の面は成り行き任せに彫った。結果は足元にも遠く及ばない似て非なるものとなったが、猫のしなやかな造形を少しは学べたと思う。何よりも後ろを向いているのがいいなあ。いままで“前向き”を建前にして生きてきたから、そろそろ後ろ向きになってみたいと思っていたのだ。老人にはそれしか残っていないような気もする。2010/2/21

牝猫模刻-側面 牝猫模刻-背面



「子猫」 毛並みをウッドバーニング
 小首をかしげてお座りしている子猫を彫った。技法は、西誠人『 キャット・カーヴィンク 猫の木彫入門 』を参考に、彫り上げたあとヤスリ〜サンドペーパーをかけて滑らかにし、タビー系の縞模様をバーニングペンで描く。全身の毛並みを1本1本焼き付けるのは気が遠くなるような面倒な作業だが、木の焦げる香ばしい匂いを嗅ぎながら楽しんで描いた。2匹彫ったら、なんとなく兄妹のようになった。インドネシア産のジェルトン材。2009/5/14

兄妹猫




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