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木彫は楽しA


―――――動物いろいろ―――――


「トイプードル」 巻き毛のモジャモジャ感
 長女宅で犬を飼った。子供たち(私には孫)の多数決でトイプードルを選んだ由。チョコレート色なのでチョコと末の子が名付けた。家を訪ねると、初対面の私の膝にもすぐ跳び乗ってきた。まだ幼犬のせいか元気いっぱい跳ね回っていて、明るい家庭のムードメーカーになっているようだ。で、この小犬を彫ることに。
 愛らしさを表わすため頭をかしげたポーズに彫ったのだが、彩色したら目と鼻が体毛の焦茶の中に沈んでしまって、表情が生きてこないことに気づいた。木片を削ってピンクの舌を出させ、どうやら可憐さを保つ。今回、巻き毛のモジャモジャ感を出すのが難しかった。2017/4/23

トイプードル正面 トイプードル側面



「カワセミU」 魚を狙う姿勢
 水中の魚を狙って、今まさに飛び込もうとしているカワセミの前傾姿勢。サンディングせず刀の彫り痕を残し、趾下の岩場も叩き割った木の断面を活かす。羽毛の彩色は、青とも緑とも見える鮮やかな色合いが難しい。アクリルを5〜6回慎重に薄く塗り重ねる。やり過ぎると汚くなるので、不満足ながら手を止めた。それにしても、掌にすっぽり入る小さな体に比べ嘴はとてつもなく大きい、肩が凝ったりしないのかな。2015/12/18

カワセミ正面 カワセミ側面



「ハクチョウ」 曲線を活かしたポーズ
 以前住んでいた士別の風物詩……毎年春先、多寄31線西の天塩川旧河川に、シベリアからハクチョウの群れが飛来し、長旅の羽根を休める。いつもは静かな湖沼が2000羽を越える渡り鳥と、それを見に来る人たちで大賑わいとなる。
 何度か見に行ったときの情景を思い出し、女性的ともいえそうな優美な姿を表現すべく、曲線を活かしたポーズに彫りあげた。彼らはさらに本州の猪苗代湖や瓢湖に行き、秋口にはまた士別に戻って一休みしたあと故国へ帰るという。いつも思うのは、あれほど多数の群れが一斉に飛び立つとき、いったい誰がどうやって決断し、どうやって全員に周知するのか、不思議でならない。2015/4/1

ハクチョウ右側 ハクチョウ前面 ハクチョウ左側



「チーター親子」 ベニア板の中のサバンナ
 ネコ科の野生動物で最も魅せられるのはチーターだ。走り〜狩るのに必要な機能のみ極限まで鍛えた体形はスマートで美しい。顔つきも獰猛というより精悍な感じ、体毛の水玉模様もしゃれている。それに子どものなんと愛くるしいこと。
 等身大に彫ってみたいが、大きな木を入手できないし作業場もない。で、夢はすっかり矮小になり、ベニア板にチーター親子を焼き付け。絵もバーニング技術も下手すぎて、サバンナの草原にはほど遠かった。2枚目は表情と毛並みに意を注いだ。2015/2/5-20

チーター親子1 チーター親子2



「豆助」 初めての犬
 いつも猫ばかり彫っているが、展覧会場で「犬は彫らないのですか」と問われ、「豆助なら彫ってみたい」と答えてしまった。それまで思ってもみなかったのに、不意の問いかけにTV“和風総本家”のマスコット犬が浮かんだ。
 柴犬の子は、身に何もつけなていなくても可愛いが、首に唐草模様の風呂敷包みを巻いたとたん可愛さが倍増する……これは一体なぜなんだろう? 口を開け舌を出したら、嬉しがっている表情になったように思う。初めて彫る犬、どうやら完成。2014/10/8

豆助-正面 豆助-側面



「鷹」修正彫り〜彩色
 以前に彫った「鷹」、どことなく気に入らず展示会や展覧会にも出したことがない。バーニングの焦がし跡も褪せて見すぼらしくなってきたので、気に入らない個所を修正、かつアクリル絵の具で新たな彩色を試みた。
 彫り直しは3個所、@嘴を縦目の木片で削り出して接着し、より猛禽らしい鋭さを表現、A足の位置を下げ台座に削り直して爪を鋭く強調、B尾羽根が足に近すぎる位置だったので、新たに彫って後方に下げて接合。彩色は、塗ったあと生乾き状態を濡れた布や綿棒でこすったり、硬めの筆で彫りのエッジを際立たせたりと手を尽くした……結果、どうもまだ満足できるものにならない。2014/4/3

タカ-上半身 タカ-全身 タカ-下半身



「巣鶏」模刻 ザックリ彫りを学ぶ
 A型人間の私はいつも細部にこだわって、仕上げはついチマチマ彫ってしまう。今回はほとんど粗彫りのような佐藤朝山の「巣鶏」を模刻、その大胆なザックリ彫りを学ぶことにした。もちろん展覧会には出せない、自分の勉強のため。
 手本と寸分違えず彫るのでなく、細部はいい加減でいいから、全体の形を念頭におき、大雑把に彫るよう心がけた。入手した写真は側面だけなので、前後がどうなっているかわからない。そこは成り行きで適当にアレンジした。彫ってみて気づかされたのは、ピラミッド形の安定した構図、簡潔な両翼と尾羽根の処理、ともに私には考え及ばないシンプルかつ洗練された造形だった。2013/10/14

巣鶏模刻-右 巣鶏模刻-前 巣鶏模刻-左



「雀つがい」 先達の名人芸に触れる
 上野玉水の「雀一対」をたまたまインターネットで見た。昭和の初期に活躍した人らしいが、現今のスーパーリアリズムのバードカービングとは明らかに違う何か、足先まですべて木製で、シンプルなつくりなのに清雅な気品があり、その可憐な風情に惹かれた。売りに出されていた価格は雄雌揃いで45万円! 年金暮らしには手が出ない。
 ならば、と模刻することに。といっても丸写しでは芸がない、私なりの作意も入れて雄のほうはくちばしを開けてさえずっている形にし、羽毛の細部はバーニング。老眼には細密すぎて難渋した。結果、名人に遠く及ばないながら、少しは先達の感覚に触れたように思う。なお、写真の足下にまいた米粒は本物(道産米)。2013/1/3

雀番い模刻



「森の王者」 硬いサクラ材と格闘
 初めて彫るサクラ材に、木彫サークルの先輩が「この木を彫るにはマウスピースがいるぞ」といった。なるほど材質が緊密で重く、硬い。腕にも歯にも力が入る。けっきょく歯を傷めはしなかったが、叩き鑿1本の刃先を変形させ、彫刻刀2本を欠かしてしまった。散々手こずらせてできた梟なので、敵ながらアッパレと最大級の題をつけた。
 面倒な肩羽根〜雨覆は石目彫りを応用し、上側に被さる羽根を列に沿って順次重ね彫り、風切〜尾羽根はバードカーヴィングの要領で段差式に彫った。木に粘りがあり、そのせいか削り跡に光沢が出る。終わってみれば、好きな材質といえそうだ。2012/7/18

見返り梟-正面 見返り梟-側面



「舞い降りる梟」 細工は我流…
 梟の顔はパラボラアンテナのように窪んでいて集音器の役目を果たし、また羽毛が柔らかいうえ風切羽根の周囲に生える綿毛の消音効果で、音もなく獲物に襲いかかることができるらしい。体の構造からして正確無比な「森の忍者〜プレデター」なのだ。しかし、その“音無しの翼”を広げて獲物に襲いかかる姿は優美かつ孤高にすら見え、つい「森の賢者」と言い換えたくなる。いままで梟を何度か彫ったが、うまくいった試しがない。細工は流々ならぬ我流、仕上げをご覧じろ、とは言い難いが。2011/10/15

舞い降りる梟-正面 舞い降りる梟-背面



「欲張りすぎ」 エゾシマリスの頬袋
 北海道に棲むリスは、エゾリスとエゾシマリスの2種類らしい。エゾリスの朴訥な表情もいいが、エゾシマリスのほうには頬袋があって、木の実を入れると顔が2倍にもなる(小さいドングリなら左右3個ずつ、大きいドングリなら2個ずつ入るそうな)。ユーモラスな表現をしたい私には後者が恰好のモデルだ。動物は己の容量を知っているだろうが、生き物には欲というものがある。限界を越えそうな頬張り方をすることだってあるのでないか……と思いながら彫ったり削ったりしていたら、こんなのができた。第2回北の動物大賞展の入選作。2010/10/8


リス正面 リス背面



「ペンギン親子」 1週間の速成
 ペンギンは単純な形なので彫るのも早く、彩色を含めて1週間で完成。しかし、実際に彼らが生命の誕生に到るにはそんな簡単なものではないらしい。皇帝ペンギンの映画を観たことがあるが、−40℃という酷寒の南極大陸で、ときには激しいブリザードに吹き曝されながら120日間も絶食して卵を抱き続ける。愛らしい姿態からは想像できない壮絶な生き方だった。そんな彼らに一時思いを馳せてみた。2010/3/8

ペンギン親子-正面向き ペンギン親子-横向き



「小さな睥睨へいげい」 コノハズクの眼力
 猛禽類の猛々しさと驚いたような眼の愛らしさを共存させるには、ドラエモンのような丸顔のフクロウより、耳様の突起があるコノハズクのほうが表現しやすい。切れ上がる斜めの線によって“睨み”を効かせられるからだ。ところが羽根の模様は複雑きわまりない。写真集を参考にバーニング、といってもやはり複雑すぎてよくわからないので、少々図案化してごまかす。仕上げにフラットクリアーという艶消しラッカーを塗ったのだが、これがけっこう光って、ギトギトした品のないものに堕してしまった。艶消しといっても艶は出る、なんか“痩せる飴”みたいな、だまされたような感じ。2009/11/3

コノハズク



「カワセミ」 彩色ままならず
 手本は10数年前のNHK放送のビデオ。バードカーヴィングでは足を針金で細工するのだが、私はすべて木でつくりたい。止まる岩のほうに足を彫りつけ、カワセミと岩をダボでつないだ。ジェルトンは彫りやすく、形は比較的容易にできたものの、彩色が思いどおりにならない。青とも緑とも見える微妙な美しさが出せないのだ。失敗するたびに下地剤で塗りつぶしてやり直し。5回ほど塗り替えて、やっとこの色。とても“渓流の宝石”と呼べる色合いにはならなかった。「翡翠(かわせみ)は一張羅(いっちょうら)着て魚捕り」なんて句のようなものをつくって気分転換。2008/5/3

カワセミ背面 カワセミ前面




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